クライアントに「答え合わせ」を求められた時、どうしてますか?その対応がクライアントの未来を変える!
「先生、これで合ってますか?」
「結局、私どうすればいいんですか?」
キャリアコンサルティングの現場で、クライアントからこんな「答え合わせ」を求められた経験はありませんか?
あなたも「つい答えを教えてしまいそうになる」「どう対応すればいいか迷う」と感じたことがあるかもしれませんね。
でも、結論から言います。
ここで安易に「答え」を教えるかどうかが、クライアントの未来を大きく左右します。
私たちキャリアコンサルタントの役割は、クライアントに「答え」を与えることではありません。
クライアントが自分自身で「答え」を見つけ、納得して行動できるように支援することです。
なぜなら、自分で見つけた答えこそが、クライアントの主体性と自律性を育み、その後のキャリアを切り拓く力になるからです。
この記事では、私がキャリアコンサルタントとして「答え合わせ」を求められた時にどう対応してきたか、その経験から導き出したクライアントの成長を促す具体的な関わり方を徹底解説します。
ついやってしまいがちなNG例と、明日からすぐに使えるOK例を交えながら、クライアントの力を最大限に引き出す質問術や声かけのコツを惜しみなくお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたは「答え合わせ」を求められても焦ることなく、自信を持ってクライアントの主体性を引き出すことができるようになるはずです!
なぜ「答え合わせ」はダメ?キャリアコンサルタントが知るべき理由
クライアントから「答え合わせ」を求められた時、なぜ安易に答えを教えるのが良くないのか。
その理由を理解することが、適切な対応の第一歩です。
1. クライアントの主体性を奪うから
あなたが答えを教えてしまうと、クライアントは「自分で考える」ことをやめてしまいます。
「先生が言ったから」という他人の指示で動くようになり、たとえうまくいってもいかなくても、その結果をあなたや周りのせいにする傾向が生まれてしまいます。
これは、自分で道を切り拓く自律的なキャリア形成とは真逆の方向です。
2. 目の前の問題しか解決できないから
あなたは今回の相談の答えを教えても、クライアントが次に同じような壁にぶつかった時、また「答え」を求めてしまうでしょう。
根本的な問題解決能力や、自分で道を切り開く力が育ちません。
魚の釣り方を教えるのではなく、魚を与えてしまうようなものです。
3. 責任の所在が曖昧になるから
キャリアの選択は、クライアント自身の人生の責任です。
あなたが答えを提供してしまうと、その結果に対する責任の所在が曖昧になり、クライアントが自分の選択にオーナーシップ(当事者意識)を持てなくなります。
4. あなた自身の専門性も曖昧になる
キャリアコンサルタントは「答えを教える人」ではなく、「自分で答えを見つける手助けをする人」です。
安易に答えを教えることで、あなたの専門性や役割がぼやけてしまう可能性があります。

新人の頃は、クライアントの不安そうな顔を見ると、つい「こうすればいいですよ」と言いたくなってしまいました。
でも、その方がクライアントのためにならないと気づいてからは、ぐっとこらえて質問を返すようにしています。
「答え合わせ」を求められた時の【NG例】と【OK例】
具体的なシチュエーションで、ついやってしまいがちなNGな対応と、クライアントの成長を促すOKな対応を見ていきましょう。
【NG例】
- 「AとBなら、Aの方が良いと思いますよ。」 (安易にあなたの意見を伝える)
- 「普通は〇〇しますね。」 (一般論を押し付ける)
- 「私だったらそうしますね。」 (個人的な意見を押し付ける)
- 「まだ考えが足りないようですね。」 (クライアントを否定するような言い方)
- 「はい、その通りです。」 (クライアントの思考をそこで止めてしまう肯定)
【OK例】
ここから、クライアントの主体性を引き出す具体的な声かけや質問術を見ていきましょう。
1. クライアントの言葉を「問い」に変えて返す質問術
クライアントが「これで合ってますか?」と尋ねてきたら、その言葉をそのまま「問い」として返してみましょう。
- クライアント: 「この会社に転職すべきか、悩んでいます。これで合ってますか?」
- OK例:
- 「そうですね。〇〇さんは、この会社に転職することについて、今どう感じていますか?」
- 「〇〇さんが『合っている』と感じるのは、具体的にどんな部分でしょうか?」
- 「もし、その選択が『合っている』としたら、どんな良いことがありそうですか?」
- 「もし、その選択が『合っていない』としたら、どんなことが心配ですか?」
クライアントに「どう思いますか?」「どう感じますか?」「どんなメリット・デメリットがありそうか?」と、自分自身に問い直させることで、思考を深めてもらいます。
2. クライアントの思考を「広げる」質問術
一つの選択肢に囚われているクライアントには、視点を広げる質問が有効です。
- クライアント: 「今の仕事を辞めるべきか、続けるべきか…どちらが正しいですか?」
- OK例:
- 「今の選択肢以外に、何か考えられることはありますか?」
- 「もし、時間やお金の制約が一切なかったとしたら、どんなことをしてみたいですか?」
- 「これまでのキャリアで、〇〇さんが本当に『楽しい!』と感じた瞬間はどんな時でしたか?」
- 「もし、この悩みが解決したとしたら、〇〇さんはどんな風になっていたいですか?」
「もし〜だったら?」「他に方法は?」「これまでを振り返って」といった質問で、思考の幅を広げ、新たな可能性に気づかせます。
3. クライアントの思考を「深める」質問術
漠然とした悩みを抱えているクライアントには、具体的に考えを深めてもらう質問が有効です。
- クライアント: 「何がしたいか分かりません。どうしたらいいですか?」
- OK例:
- 「『何がしたいか分からない』と一口に言っても、具体的にどんな時にそう感じますか?」
- 「これまで『これは苦手だな』と感じたことはありますか?それはどんな時でしたか?」
- 「もし、今あなたが自由に使える時間が1週間あったら、何をしますか?」
- 「〇〇さんが大切にしたい価値観は何ですか?」
ポイント: 「具体的に」「どんな時」「なぜ」「どう感じるか」といった言葉を使い、クライアントの内面に深く切り込みます。

質問は、クライアントにとっての「鏡」のようなものです。適切な質問を投げかけることで、自分では気づかなかった一面が見えたり、考えが整理されたりします。
クライアントの成長を促すための関わり方のコツ
「答え合わせ」の質問への対応だけでなく、普段の関わり方でもクライアントの主体性を育む意識が大切です。
1. クライアントの「言葉」を丁寧に扱う
クライアントが発する言葉一つ一つに、真剣に耳を傾け、その言葉の背景にある意味や感情を理解しようと努めましょう。
言葉の繰り返し・言い換え: 「〜ということですね」「〜と感じていらっしゃるのですね」と繰り返すことで、クライアントは「この人は私の話を理解してくれている」と感じ、安心して話せるようになります。
感情の承認: 「それは辛かったですね」「よく頑張りましたね」など、クライアントの感情に寄り添い、その感情を認めることで、安心感が生まれます。
2. クライアントの「気づき」を大切にする
あなたが答えを教えるのではなく、クライアントが自ら気づくことを何よりも大切にしましょう。
気づきへの問いかけ: クライアントが何か閃いた様子を見せたら、「今、何か気づかれたようですね?」「どんなことが見えましたか?」と問いかけ、その気づきを深掘りする手助けをしましょう。
結論を急がせない: クライアントが考えを整理する時間を与えることも重要です。沈黙を恐れず、じっくり待つ姿勢も必要です。
3. 「選択」と「決定」の責任はクライアントにあることを明確にする
セッションの最後に、クライアント自身が選択し、決定したことへの責任はクライアントにあることを、優しく、しかし明確に伝えましょう。
「最終的に決めるのは〇〇さんです」というメッセージを伝える。
「〇〇さんが今日決めたことを、私は全力で応援します」と、サポートする姿勢を示す。
「もし、途中で迷いが生じたら、また一緒に考えましょう」と、継続的な支援の可能性を示す。

キャリアコンサルタントは、クライアントにとっての「伴走者」です。
一緒にゴールを目指しますが、実際に走るのはクライアント自身。
私たちは、そのランナーが自分の足で走りきれるように、最高のサポートをするのが役割です。
まとめ:「答え合わせ」を成長のチャンスに変えるキャリアコンサルタントへ
キャリアコンサルタントにとって、クライアントから「答え合わせ」を求められるのは、決してネガティブなことではありません。
それは、クライアントがあなたを信頼している証拠であり、「成長のチャンス」を与えてくれている瞬間です。
ここで安易に答えを教えるのではなく、クライアントの言葉を丁寧に扱い、適切な質問で思考を広げ、深め、そして何よりもクライアント自身が答えを見つけるプロセスを徹底的に支援すること。
この関わり方こそが、クライアントの主体性と自律性を育み、あなたが真のプロフェッショナルとして輝く道へと繋がります。
今日から、クライアントの「答え合わせ」の求めを、クライアントがさらに成長するための貴重な機会だと捉え、自信を持って関わっていきましょう!
キャリアコンサルティングの基礎から実践まで深く学びたいなら!
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