クライアントが「セカンドキャリア」を考える時、どう面談しますか?合格を引き寄せる面談術
「実技試験で『セカンドキャリアを考えたい』というテーマが出たら、どう進めればいいんだろう…」
「長年の経験を持つクライアントに、どんな質問をすればいいか分からない…」
「定年後の具体的なプランがないクライアントに、どう現実的な選択肢を示せばいい?」
国家資格キャリアコンサルタント実技試験での「セカンドキャリアを考える」というテーマ。
これはクライアントにとって人生の新たな章を開く、大きな転換点です。
クライアントは、これまでの経験を活かしつつ、一方で未来への期待と同時に、漠然とした不安を抱えていることが少なくありません。
この記事では、私がキャリアコンサルタントとして実際にセカンドキャリアを模索する方々を支援し、また実技試験対策に携わってきた経験から、「セカンドキャリア」設定で失敗しないための具体的な対策を徹底解説します。
クライアントが納得感を持って新たな一歩を踏み出す面談の進め方、効果的な声かけのコツ、そして合格を引き寄せる評価ポイントまで、すぐに実践できるノウハウを凝縮してお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたはセカンドキャリアを考えるクライアントの心に深く寄り添い、クライアントが自信を持って新たな道を切り開くための確かな道筋を見つけることができるでしょう!
実技試験「セカンドキャリア」設定、ここが難しい!
「セカンドキャリア」のテーマには、特有の難しさがあります。
この状況を理解することが、適切な面談の第一歩です。
1. 「これまでの経験」への固執と「新しいこと」への抵抗
クライアントは長年の経験がある一方で、その経験に固執し、新しい学びや変化に対して抵抗を感じる場合があります。
これまでの成功体験が、新たな挑戦への足かせになるケースも少なくありません。
2. 漠然とした「老後への不安」が先行する
具体的なキャリアプランよりも、「定年後の生活費」「健康面」「孤独」など、漠然とした老後への不安が先行し、思考が停止してしまうことがあります。
この不安を解消し、前向きな思考へと転換させる支援が必要です。
3. 「情報不足」と「選択肢の限定」
クライアントが自身の持つ可能性や、社会にある多様な働き方について十分な情報を知らない場合があります。
結果として、選択肢を限定的に捉え、最適なセカンドキャリアを見つけられないことがあります。

セカンドキャリアを考えるクライアントは、自身の「人生の集大成」と「新たな始まり」の狭間で揺れ動いています。
彼らがこれまでの経験を価値あるものと捉え、未来に希望を持てるよう導く視点が不可欠です。
「セカンドキャリア」面談を読み解く「3つの視点」
実技試験の「セカンドキャリア」設定では、クライアントの言葉の奥にある真意と、具体的な状況を深く理解する視点が重要です。
1. 「これまでのキャリアの振り返り」を深掘りする視点
クライアントのこれまでの職業人生、特に「やりがいを感じた経験」「困難を乗り越えた経験」「人から評価されたこと」を具体的に確認しましょう。
- 職務経歴の詳細: どのような仕事をしてきたのか、役職、主な実績、スキル。
- キャリアの節目と転機: 転職や異動の経験、その時の意思決定。
- 仕事を通じた学びや成長: どんな知識、スキル、人脈を築いてきたのか。
面談での活かし方: これらの情報から、クライアントの「強み」と「価値観」を明確にします。
「これまでのお仕事で、〇〇さんが特に『これは楽しかった』と感じることは何ですか?」「困難な状況を乗り越えた時、どんな力が役立ちましたか?」と問いかけ、具体的なエピソードからクライアントの自己理解を深め、自身のキャリアに自信を持てるよう支援します。
2. 「セカンドキャリアへの期待と不安」を深掘りする視点
クライアントがセカンドキャリアに対して具体的に何を期待し、何に不安を感じているのかを深く掘り下げます。
- セカンドキャリアへの期待: どんな働き方をしたいのか、どんな役割を担いたいのか、どんな貢献をしたいのか。
- 不安に感じていること: 健康面、経済面、新しい環境への適応、人間関係、スキル不足など。
- 理想のライフスタイル: 仕事とプライベートのバランス、地域との関わりなど。
面談での活かし方: 「セカンドキャリアで、〇〇さんが『これだけは実現したい』と思うことは何ですか?」「一方で、どんなことに不安を感じていますか?」と問いかけ、期待と不安の両面から具体的なイメージを引き出し、クライアントの価値観や優先順位を明確にすることで、目指すべき方向性を共有します。
3. 「具体的な選択肢と行動」を深掘りする視点
クライアントが自身の経験や価値観に基づき、どのようなセカンドキャリアの選択肢があり、具体的な行動として何ができるのかを共に考えます。
- 考えられる選択肢: 再雇用、異業種転職、起業、ボランティア、社会貢献活動、学び直しなど。
- 情報収集と行動計画: 興味のある選択肢について、どのように情報収集し、どんな行動が考えられるか。
- 行動への障壁とリソース: 行動に移す上での不安や障害は何か、逆に利用できる社内外のリソースは何か。
面談での活かし方: 「〇〇さんが考えるセカンドキャリアの選択肢はどんなものがありますか?」「それぞれの選択肢について、もう少し詳しく考えてみるために、どんな情報があれば役立ちそうですか?」「まずはどんな小さな一歩から始められそうですか?」と問いかけ、実現可能な具体的な行動計画をイメージさせ、前向きな行動へと繋げます。
「セカンドキャリア」面談の具体的な進め方と声かけのコツ
クライアントの「これまでの人生」への敬意を示しつつ、新たな可能性を見出し、主体的な行動を促す関わり方が求められます。
1. クライアントの「経験」への敬意と「不安」への共感
クライアントのこれまでの経験を肯定的に受け止め、セカンドキャリアへの不安に深く寄り添います。
NG例: 「これまでやってきたことは一旦忘れて、新しいことに挑戦しましょう。」
NG理由: クライアントの過去の経験を否定的に捉え、その価値を認めない発言だからです。これにより、クライアントは自身の経験が通用しないと感じ、さらに不安を抱く可能性があります。
OK例: 「〇〇さんがこれまでのキャリアで培ってこられた経験は、本当に素晴らしいものですね。その上で、セカンドキャリアを考えるにあたって、どんなことに不安を感じていらっしゃいますか?」
OK理由: クライアントのこれまでの経験を尊重し、その価値を認めた上で、現在の不安に寄り添う姿勢を示しています。これにより、クライアントは安心して自身の本音を話せるようになります。
2. 「新たな可能性」と「強み」を引き出す質問術
クライアントが自身の持つ潜在的な強みや、未開拓の可能性に気づけるような質問を投げかけます。
NG例: 「資格を取れば、新しい仕事が見つかりますよ。」
NG理由: 一方的な提案で、クライアント自身の自己分析や意思決定のプロセスを阻害するからです。
資格取得が必ずしも最適な選択肢とは限りません。
OK例: 「これまでの仕事やプライベートで、〇〇さんが『無意識にやっていたけど、人からは感謝されたこと』や『人にはない独自の工夫』はありますか?それはどんな時でしたか?」
OK理由: クライアントが普段意識しないような経験の中から、汎用性の高い「強み」や「特性」を自ら発見できるように促す質問です。
3. 「現実的な行動」と「自己決定」を促す計画
クライアントが無理なく実行できる「小さな一歩」を具体的に設定し、未来への具体的な行動を促します。
NG例: 「定年後すぐに起業する準備を始めましょう!」
NG理由: クライアントの現状やリスク許容度を考慮せず、大きなハードルを課しているため、行動への抵抗感を生じさせる可能性があります。
OK例: 「セカンドキャリアに向けて、まずはどんな情報があればもっと具体的に考えられそうですか?例えば、興味のある分野のセミナーに参加してみる、OB・OGの話を聞いてみる、など、〇〇さんが『これなら試せそう』と思えることはありますか?」
OK理由: クライアントが「できる」と感じられる具体的な情報収集や行動目標を提示し、自己決定を促すことで、行動への心理的ハードルを下げ、前向きな一歩を支援する質問です。

セカンドキャリアは、長年の経験と知恵を活かし、新たな挑戦ができるチャンスです。キャリアコンサルタントは、クライアントがそのチャンスを最大限に活かし、自分らしい未来を創造できるよう、伴走します。
実技試験「セカンドキャリア」で評価されるポイントと対策
実技試験では、単に話を「聞く」だけでなく、キャリアコンサルタントとしての専門的な視点と関わり方が評価されます。
1. クライアントの「人生経験」と「価値観」への深い共感と理解
- 共感と受容: クライアントの長年の経験への敬意を示しつつ、セカンドキャリアへの期待と不安を深く受け止める姿勢。
- 本質への洞察: 表面的な「何をすべきか」だけでなく、クライアントが人生の後半で「何を大切にしたいか」という価値観や、真のニーズを見抜こうとする姿勢。
2. 「経験の棚卸し」と「強み」の引き出し方
- キャリアの再評価: クライアントが自身のキャリアを客観的に見つめ直し、培ってきたスキルや経験を「セカンドキャリアに活かせる強み」として再認識できるよう促す質問力。
- 可能性の提示: クライアント自身が気づいていない潜在的な能力や、新たな分野での活躍の可能性を示唆する関わり方。
3. 「具体的な行動計画」と「自己決定」の促進
- 現実的な選択肢の提示: クライアントの状況や市場の動向を踏まえ、実現可能なセカンドキャリアの選択肢を共に検討する。
- スモールステップの提案: クライアントが無理なく実行できる「小さな一歩」となる具体的な行動計画を共に明確にする。
- 自己決定の尊重: キャリアコンサルタントが答えを出すのではなく、クライアント自身が納得して次のステップを選択できるよう、意思決定プロセスを支援する。
4. 信頼関係構築と安全な場の提供
- 受容的な態度: クライアントのどんな弱音や不安も、良い悪いを判断せず、まずは受け止める姿勢。
- 非言語の活用: うなずき、アイコンタクト、穏やかな表情などで、クライアントが安心して本音を話せる雰囲気を作る。
- 守秘義務の確認: 面談の冒頭で守秘義務について触れ、安心して話せる環境を提供します。
まとめ:「セカンドキャリア」設定を「得意」に変えて合格を掴む!
国家資格キャリアコンサルタント実技試験の「セカンドキャリアを考える」設定は、クライアントの長い人生経験を尊重しつつ、新たな未来を共に創造する、非常にやりがいのあるテーマです。
クライアントのこれまでの経験を深く傾聴し、その奥にある価値観や強みを引き出すことで、クライアント自身が納得してセカンドキャリアの扉を開けるように支援すれば、決して難しいものではありません。
今回ご紹介した「3つの視点」と「具体的な声かけのコツ」を繰り返し練習し、ロールプレイングで実践してみてください。
「セカンドキャリア」設定を「苦手」から「得意」に変え、自信を持って実技試験に臨み、合格を掴み取りましょう!
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